心のバリアフリーとは、オリンピック・パラリンピックの実施される2020年に向けを契機に、国内のバリアフリー環境をさらに一歩進めて、社会の「共生」環境を整えよう、という政府と東京都の施策です。この背景には、2016年4月に施行された「障害者差別解消法」があります。首相官邸のウェブサイトには、下記の記述があります。
「心のバリアフリー」とは、様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合うことです(「ユニバーサルデザイン2020行動計画(2017年2月ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議決定)」より)。
そのためには、一人一人が具体的な行動を起こし継続することが必要です。各人がこの「心のバリアフリー」を体現するためのポイントは、「ユニバーサルデザイン2020行動計画」では、以下の3点とされています。(1)障害のある人への社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障害の社会モデル」を理解すること。
(2)障害のある人(及びその家族)への差別(不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供)を行わないよう徹底すること。
(3)自分とは異なる条件を持つ多様な他者とコミュニケーションを取る力を養い、すべての人が抱える困難や痛みを想像し共感する力を培うこと。
ここで「障がいの社会モデル」という言葉は、障がい者が社会に自分を合わせるのではなく、社会が障がい者に合わせるべきである、という考え方です。左利きの人が不便さを感じないように社会環境を整えるべきであるという風に言えばわかりやすいでしょうか。それを実現するために、負担が過大にならない範囲で「合理的配慮」をしなければならない、とされています。逆に言えば、合理的配慮を行わずなんの努力もせずに障害のある方を排除するような行為は障がい者に対する差別とみなされます。
旅行会社も宿泊施設も観光施設も、上記の3つの要請を考慮して、適切にサービスを行うことが求められます。事業者がそうしたことに取り組むのは当然ですが、サポートが必要な人のことを当たり前に気に掛ける人、軽やかに「なにかお手伝いできますか」と声掛けして「助っ人」になれる人が増えてると、「共生」という言葉がしっくりくる良い世の中になると思います。
内閣府 心のバリアフリーについてhttps://www.kantei.go.jp/jp/singi/tokyo2020_suishin_honbu/udsuisin/program.html (2019.5.2)
ユニバーサルデザイン 2020 行動計画
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tokyo2020_suishin_honbu/ud2020kkkaigi/pdf/2020_keikaku.pdf (2019.5.2)
こちらの記事も併せてご参照ください(2021年2月追記)。
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