9月28日(土)29日(日)の一泊二日で、大槌町の大槌復興刺し子プロジェクトを運営する認定NPO法人テラ・ルネッサンスのサポーターの皆さんと一緒に、三陸鉄道の震災学習列車に乗る旅に行ってきました。
最初の訪問地「大船渡津波伝承館」では、当時さいとう製菓の専務だった斎藤賢治館長からお話いただきました。その時、生死を分けた知識、判断、行動について、津波を知らない人たちがいかにいたずらに時間を浪費して亡くなってしまったか、そこから学ぶことがいかに大切か、東京においても「震災」に日々備えることがいかに重要であるかを教えていただきました。
今年の春、全長163キロのリアス線全線が開通された三陸鉄道、南の終着駅である盛駅から釜石駅までを走る「震災学習列車」で、運行本部指令長兼盛駅長兼釜石駅長の山蔭さんより当時の様子をパネルなどを使ってご説明いただきました。鍬台トンネルので停車して難を逃れた「奇跡の車両」の話なども印象的でした。海辺に連なる防潮堤の大きさにも圧倒されました。
釜石駅で合流して大槌町と釜石のお話をしてくださったのは、「被災した人たちのそばにいる」ことを決めて、都会を離れて、釜石、大槌、陸前高田に生活して8年というNPO法人アラマキの吉野和也さんです。テラ・ルネッサンスが現在運営する大槌復興刺し子プロジェクトを2011年に立ち上げたときの中心人物です。現在、三陸のおいしいものとその情報を年に4回お届けする「三陸食べる通信」編集長を務め、地元の漁師さんたちを悩ます「磯焼け」対策を行ったりもしているとのことで、その心意気と行動に感服しました。
ラグビーワールドカップ2019開催に沸く釜石市。釜石の根浜地区に一軒宿「宝来館」があります。根浜の潮の香と波の音を感じながらゆったり露天風呂につかって、海の幸を堪能した後、女将の岩崎昭子さんからあの日のことをお聞きしました。尋常でない大きな揺れの後、皆で裏山の避難道を上ったが、後から避難して宝来館に来た人たちを裏山に案内しようと降りたところに津波が襲ってきた。「津波は静かに水が入り込んできて、一気に押し寄せてくる。教育と訓練で生き延びる確率は上がる。来るものは来る。けど、生き延びられます。」とお話されました。
釜石鵜住居駅から北上して訪れたのは震災遺構「たろう観光ホテル」です。周りに建物のないところに敢然と立つ、それは仁王立ちの武蔵坊弁慶のようでした。あの日、狭い湾口を通り過ぎた津波は、一気に防潮堤を越えて町は濁流の海になりました。日頃の防災教育で従業員は裏山へ。社長はタイミングを逸して6階に避難。そこから街を見下ろした数十秒間の映像を見させていただきました。ここで見た映像は、多分忘れないと思います。
旅の最後に、三陸復興国立公園を代表する景勝地である浄土ヶ浜を訪れました。三陸の海と陸の歴史がつくった芸術品です。太陽の光に白い岩と青い水のコントラストを存分に楽しみ、帰路につきました。
(野村 記)
【参考リンク】
大船渡津波伝承館
三陸鉄道震災学習列車
大槌復興刺し子プロジェクト
三陸食べる通信最新号
浜辺の料理宿 宝来館
震災遺構たろう観光ホテル
浄土ヶ浜(宮古市)
認定NPO法人テラ・ルネッサンス